○自民党議員会の若林和雄でございます。

ただ今、福田知事が栃木県の近未来に向けた目指すべき方向を「未来開拓プログラム」としてお示しになった。私はこれを評価し、支持する立場から意見を述べるものであります。

○今さら申すまでもなく、昨年秋以降の世界的な景気後退を直接的な起因として、国家財政は無論のこと、本県を含む地方財政が極めて厳しい事態に陥りまして、今日に至っていることは周知の通りです。

○本県財政はそのことによって、現行水準で県民サービスを続けるとすれば、本年度で261億円、以後その傾向は毎年続き、平成24年度には352億円、25年度には384億円もの財源が不足すると見られています。この数字は、財政健全化法に言う早期健全化基準で160億円、財政再生基準では213億円を軽くオーバーする、極めて驚くべき数字になる訳ですから、行財政改革はマッタなしで、全力で、決意を込めて進めなければなりません。私たちは、時間の猶予もないと理解するべきであります。

○その一方で、今だからこそ、県政の持つ役割や意義は何なのか、という視点も今一度、しっかりと把握しておく必要があると、私は考えています。財政の健全化という目標達成を重んずるあまり、本県の目指すべき姿を見失うことは、県政運営の本来の姿からして、あってはなりません。その意味では、プログラム実行後の本県の将来像を県民と共有しながら、そこに行政改革の視点を併せ持った行財政システムの、大胆な構造改革に取り組む必要があると、私は思います。

○こうした観点に立ちますと、このプログラムは、実行した後の本県の将来像を「安心して暮らす・人や環境にやさしくする・そして元気な栃木をつくる」として、プログラムの目指す方向は、「自律的な行財政基盤を確立し、県民に高い満足度が得られる県政の実現」であると、明確に・しっかりと掲げているのであります。これは、何よりも県民の多様なニーズに確実に対応することを第一に掲げた上で、「人づくり・安心安全・環境・経済成長・社会基盤づくり」についての方向性を示したのであって、県民生活について、セーフティネットはしっかりと維持し、持続する。その一方では、地域経済や社会を成長させていくことが具体的に示された訳です。 

○福田知事は、このフログラムにより、行財政改革に集中して取り組むことにして、本年度から平成24年度の5年間で財政収支を改善させ、25年度からは収支の均衡した予算を編成して、県の自立度を高めるとしています。この5年という期間をもって、急激な改革だという見方もあるようですが、そうではない。これは決してハードランディングではありません。今ある基金などを工夫しながら、使えるものは使って、5年をかけて一定のサービス水準にまでゆるやかに誘導しようというものであって、県政のソフトランディングだと理解すべきであります。この手法は、今日の山積する行財政課題への柔軟な対応策だという意味で妥当なものであると、私は考えます。

○プログラム策定の前提とした県の中期財政収支見込みは、今年1月の「2010年世界経済順調回復シナリオ」と6月の改訂版によって策定されていますが、歳入面でいくつかの不安定要素があることは認めておく必要があると思います。つまり、成長シナリオが想定した年率2パーセントの経済成長期待は達成が困難で、今年はマイナス成長になる公算が高くなっていますし、8月の県内法人事業税の調定実績からみて、本年度の税収は予測を超える落ち込みの可能性があるからであります。新政権が今後、どのような地方財政計画を打ち出すか、未だ不確定要素が多い中ですが、県財政は今後、数カ月後には、大きな正念場を迎えることになると考えています。しかし、そうであっても、このプログラムでは幾多の変動要因に柔軟に対応することにしてありまして、毎年の見直しを着実に行って、国の新たな施策や地方財政に対応する配慮がなされ、またそれは充分に可能だということです。

○歳入を個別に見ますと、まず、県税や財産処分、使用料などでは、これまで以上の、一層の効果的な対応策を講ずる一方で、新たな歳入確保策や県税の使い道の再検討などが盛り込まれまして、早急な検討が必要になります。

○行政経費の見直しはここ10数年来の取り組みですが、民間や市町村との関係、公益法人改革、受益者負担や県有施設の見直しなど、この方向での見直しは大きな意義をもつことになります。

○インフラ整備については大規模建設事業が休止され、公共事業が見直しされる一方で、インフラ整備にかかる事業費の削減率に現実的な対応がなされるなど、妥当なものと考えています。

○さて、県民サービスをどのように展開するかという大きな課題ですが、私は次の点を指摘して、これを評価したいと思います。

○まず、知事は、5月に試案を示され、以来今日まで広く県民の声をしっかりと、真しに聞いて来られました。直接・間接を問わず、要望を聞き、手紙やウェブ上で意見を伺い、逐一そうした情報を公開してきました。二元代表制の一翼を担う県議会もしっかりと議論をして意見を申し上げました。市町村もしかりで、直接、住民と接する立場からの提言や要望も数多く出されたと聞いています。結果として、市町村との協調スタンスはより強固なものになり、お互いに痛みを共有して住民の負託に応えるという点で、向かう方向は同じになったと思うのであります。

○2つめ。具体的な取り組みは県民の目線に立ち、県民の生活をしっかりと守り、維持していくという視点が明確に示された。即ち、セーフティネットを確実に張る。維持するということであります。知事は試案に対する議論や提案を踏まえて、当初の幼稚園・保育所・小中学校・高校などへの運営費やこども医療費、妊産婦の方々に対するサービス削減プランを見直して、現行の水準にまで戻しました。こうした決断は、未来への成長戦略の一環としての人づくりや、安心安全な社会づくりとしての地域医療や福祉への配慮、そして環境戦略などの分野で、今後の政策の柱として展開されることになりますし、産業政策と共に成長への種まきとして、重視していくことになります。

○県組織の内部努力は、県が自らを切るという意味で、じかに痛みを伴いますし、それはやがては県民生活に影響することになりますから、幾重にも慎重に、かつ英断をもって対処することを望みます。特に出先機関の統廃合や職員数の削減、給与構造の見直しは、今後の県政運営に大きな影響を及ぼしますから、県民と職員の皆様には確かな理解と協力をいただいて進める必要があります。

(知事への質問)

○知事にお考えを伺います。財政を健全化し、そして本県の明日を切り開いていく上では、国との関係が重要ですし、地方分権改革は引き続き、進めていく必要があります。地方が自主的で自立的な施策を展開していくために、引き続き、全国知事会など地方6団体と一致して国への提言を行い、同時に税財源の充実強化を図っていくべきであります。新政権の下で、新たに「国と地方の協議機関」設置の動きもある訳ですから、地方の意見を十分に反映させていくべきと考えますが、プログラムに盛り込んだ、地方分権・地方税財源・直轄事業負担金などについて、知事のお考えを伺います。

(要望)

○私は、このプログラムは次期総合計画との整合性をしっかりと確保して、一体的な関係を貫いていく必要があるということ、次いでプログラムの進み具合については県民そして議会に一定期間毎に報告がなされることを要望いたします。このプログラムを勇気をもって実行に移すことが、未来の栃木県を確かなものにしていくことになる、その事を申しあげまして、私の意見といたします。

栃木県未来開拓プログラム・意見表明(平成21年10月28日栃木県議会全員協議会)